【お知らせ】新しいロゴマークができました

 

多摩美術大学アートとデザインの人類学研究所(IAAD)の新しいロゴマークが完成しました。デザインは、研究所のメンバーである佐藤直樹所員(デザイナー/画家、グラフィックデザイン学科教授)によるものです。シンボルカラーである赤を基調に、手触りや温もりを感じさせる造形が特徴のこのロゴマークは、2025年4月より研究所の新たな顔となりました。

 

デザインについて

昨年度(2023年4月1日)の研究所名称変更にともないこのたびロゴも刷新しました。今時のグラフィックデザインはパソコン上で完結するものも増えています。デザインの道具としてパソコンが普及したのは1990年代でしたが、まずその点から脱する必要を感じました。「ロゴ」という言葉から連想される企業を中心としたマークやタイプフェイスは明治以降150〜160年の近代化の流れの中で広まっています。現在のわたしたちにとっては当たり前の「国旗」という存在も国民国家という「単位」によるものですが、今また大きな時代の変革期に差し掛かり、「ロゴ」や「シンボルマーク」などが前提とする「アイデンティティ」という概念自体に揺らぎが生じ始めている気がしてなりません。これからの世界がどう変わっていくかまではそう簡単に予測できませんが、当研究所の理念にある「生命力の再生」を目指すならば、表象のみで完結させた「ロゴ」であってはならないと直感しました。自分自身、デザインから絵画へ、絵画から陶像へ、という制作の流れを経験している最中で、「一体化した物質としての象徴」を生み出すことに腐心しました。仕上がった造形物は全身的な運動によって導き出されたのであり、また研究所や工房でのポリフォニックな交感を経たものであることも強調しておきたいところです。

(佐藤直樹)

 

 

釉薬をかけて焼きあがった陶像。呼吸しているようなイメージで造形され、視点を帰ることで「I」「A」「A」「D」の文字が姿を現す。この陶像は研究所で実際に手に触れて体感することができる。

 

 

初期のラフスケッチ(左)、陶像を制作中の佐藤所員(右)